【第5回:女子部幹部の結婚観(下)】

妙子「あのね,法子さんがわたしに報告してくれたのは,あなたが部長だからっていうだけじゃないの.相手の人が学会員じゃないっていうから,心配して教えてくれたのよ」
さゆり「学会員じゃないから,どうだっていうんですか.もしかして,だから彼はダメだって言いたいんですか?」
妙子「いや,そうじゃなくて.結婚を考えているんだったら,きちんと折伏して入会してもらってから,結婚するべきだろうって思って」
さゆり「すみませんけど,わたし,折伏する気なんて全然ありませんから.今みたいなひどいこと言われるような組織に,わざわざ入ってもらう必要ありません.それに,とても立派な人ですから」
妙子「世間的に立派でも,信心しないと本当の幸せは築けないんじゃない?」
さゆり「また勝手な幸福論ですか.もううんざり.じゃあ聞きますけど,一生懸命活動している男子部のなかで,魅力的な人がいますか?」
妙子「うーん,正直言って,良い人いないけど.でも,信心は一生だから.最後に勝てばいいの.一緒に信心して,いろんな障魔の嵐を乗り越えて,絶対的な幸福境涯を築くのよ」
さゆり「まわりの学会員を見る限りでは,みんな幸せそうにしてないですよ.わたしにとって,彼が信心するかしないかは,大きな問題じゃないんです」
妙子「だって,婦人部になったら,今以上に活動が忙しくなるのよ.信心していないご主人だと,理解を得るのが難しくて,なかなか自由に動けなくなる.しなくていい苦労をしなきゃいけなくなるのよ」
さゆり「あのー,わたし,婦人部に行って,一生懸命活動する気なんかないですから.結婚しても仕事続けようと思ってますし」
妙子「その彼の収入だけでやっていけないの? もしそうだったら,なおさら結婚は慎重になったほうがいいわ」
さゆり「なんてことを.彼は,なんとかひとりで養っていけるだけの給料をもらっています! でも,それに関係なく,わたしはまだまだ若いから働きたいし,そのことに彼も賛成してくれているんです.ふたりで納得しているんだから,慎重に,とか外野から言われる筋合いありません」
妙子「だって,婦人部は24時間戦えることが,理想であり誇りなのよ.経済的に必要ないんだったら,朝昼晩,信心で頑張ったほうがいいって」
さゆり「だから,頑張る気ないんですってば.何なんですか,その論理.『世界一の婦人団体』って豪語してますけど,女性が働くことも認めないような,そんな封建的なおかしな団体なんですか.呆れちゃう」
妙子「そうじゃないけど,それだけ学会活動に価値がある,って言いたいの.それにね,女子部の理想は,『先生の奥様』みたいな,常に陰で夫を支えきれるような女性に成長することよ」
さゆり「そんなのを理想にされて,たまるもんですか.よく,そんな世間の常識とかけ離れたようなことを真顔で言えますね.そんなこと言ってたら,笑われるし,相手にされないですよ」
妙子「世間がなんと言おうと,『先生と奥様』みたいな関係が,信心している人間の理想の結婚生活だと思うわ」
さゆり「いろんなパターンがあっていいじゃないですか.なんですか,その狭い考え方.これだけ女性の社会進出が叫ばれているというのに,学会の理想はそれと逆行しているじゃないですか.学会がいつも言ってる『女性の世紀』って,女性の結婚を喜ばない,結婚した女性が働くことをよしとしない,そういう妙子さんみたいな人がリーダーとして活躍する時代のことなんですね.そんなんだったら,こちらからおさらばです」
妙子「もう,そんなに揚げ足とらないで.またいつか,ゆっくり話ししよう.でも,最後にこれだけは言わせて.フラフラして結婚なんかしたら,絶対にダメよ.恋愛や結婚のことなんか考えずに,まっしぐらに自分を作り上げることが先決。付き合うのも結婚するのも,その後よ.とにかく,先生のご期待を裏切らないでね.学会に尽くすことが幸福への王道だから.活動に真剣に取り組んで,それでも彼がついてきてくれるようだったら,信心することを前提に結婚を考えてもいいけど,ついてこないようなら,それはそこまでの関係.縁がなかったということよ.そしたら,きっと他に素晴らしい人に巡り合えるわよ.女子部の信心の功徳は,そういう人に巡り合うこと.だから,急ぐ必要ないのよ.ねっ,考えてみて.そして,また話そう」
さゆり「もういいです.わたしはわたしの道を行きます.ほっといて下さい」

さゆりは,憤然として会館を後にしました.

実は,妙子には,創価大学時代からの恋人がいます.みんなに黙って,密会を続けていました.青年部幹部によくあるパターンです.でも最近は,お互い時間が取れず,なかなか会えません.この日,夜遅く家に帰った妙子は,「とっても会いたい」と彼にメールを.活動の時間が終わると,無意識のうちに,彼女もひとりの女性に戻るのでした.